治療日記9 長引く肩関節の痛みは姿勢に注意する
いつもみずの整骨院のブログを見て頂誠にありがとうございます。
今回はいわゆる四十肩・五十肩と言われる、長引く肩の痛みについてお話していきます。
患者像
40代男性 事務職
主訴
左肩が痛くなり、上まで挙げられなくなった。
既往歴
糖尿病 胆のう摘出 腰部ヘルニア 右肩関節周囲炎(四十肩)
所見
腫れ・発赤はほとんど見られない
姿勢は猫背
左肩が下がった姿勢
肩甲骨の位置が左右で違う(左が下がる)
治療の方向性
今回の方は以前に右の肩関節が挙がらなくなり、同じような状態になったとの事でした。人間の肩は手をうまく使うために、かなり広い範囲に動かすことが出来ます。
十分に安定した関節構造を取っていないため、筋肉や関節包、靭帯等でそれを補っています。
痛みを感じる受容器と呼ばれるものが、他の関節部より多いため、わずかな動きでも痛みを強く感じる事があります。
基本的には正しい姿勢を作ってもらい、痛みの出ない範囲での反復運動を繰り返してもらう事が基本の方針になります。
痛みを我慢しての運動は患部の痛みを増幅させてしまい、治療が長期化する恐れがあるのであまりお勧めしません。
治療の前に
まず正しい姿勢を作る為に座り方・立ち方を指導します。
姿勢が悪いことで(特に猫背)上半身をうまく動かすことが出来ない状況になっている人が多く見られます。
特に脚を組んだ姿勢を続けていると、背骨の土台となる仙骨が傾いた状態になってしまいます。すると背骨全体が傾き、理想とするバランスが崩れていきます。
まずは正しい姿勢を取ってもらうように指導していきます。
1-3週間
家での運動として肩の自動運動(自分で動かす運動)を指導します。
仰向けに寝て腕を徐々に開いていく(上に挙げていく)動作を反復してもらいます。
そして腕を内側と外側にねじるような動作を加えていきます。
ポイントはお風呂などで温めた状態で、痛みの出ない範囲までを繰り返し反復することです。
回数は大体10-15回くらいを目安に、同じ軌道を意識してゆっくり行います。
痛みが出た場合は、患部を擦って運動を休めるように指導しています。
4-6週間
1ケ月ほど経つと就寝時の痛み(夜間痛)が軽減してくることが多いです。
姿勢(猫背)に気を付けた生活をしてもらい、無理のない運動を継続してもらう事で
徐々に関節部に動きが出てきます。
無理やり肩を挙げるという事がなくなり、挙げやすい軌道が見つかります。
この段階で運動を増やしていきます。
肩甲骨や胸郭と呼ばれる肩以外の場所の運動も取り入れていきます。
胸を大きく広げる動作(仰向けでベンチプレスのような動き)やバンザイといった動きを反復させます。
肩の動きは腕だけでなく他の関節や部位を複合的に動かすことで理想的な肩の運動に近づけていく事が出来ます。
7-12週間
2~3ヶ月ほど経過してくると、肩の動きは徐々に改善され、特定の動きをしなければ日常生活に大きな支障をきたすことは少なくなります。
一番痛みが残りやすい動きは、後ろに手を持っていく動作(結滞動作)や髪の毛を縛る動作(結髪動作)です。
少し複雑な動きになるので、改善してくるまでにはかなりの時間が掛かる場合もあります。
この時期には立位で壁を押すような動作(肩甲骨や胸の周囲筋への刺激)を取り入れていきます。少し強度の高い運動をすることで筋肉への刺激を増やしていきます。
肩と胸郭の連動を高めるために、より日常に近い姿勢での運動を主体にしていきます。
13-16週間
4ヶ月程経過すると、上肢の筋力も徐々に出せるようになってきます。
夜間痛や急な動作での痛みが減少してくる頃でもあります。
挙上が楽になってきますが、最終可動域でまだ十分動きが出せないことがあります。
その場合は肩甲骨や背中の筋肉(少し下の部分)に刺激を加える事で、最終域での動きを促進します。
見た目ではほとんど問題が無いように感じる時期ですが、ストレスなく動かすにはもう少し運動を継続した方が良いです。
6か月を経過してくる頃には、日常生活の範囲では困ることが少なくなってきます。
再発させないためには正しい姿勢を継続することや、適度に上半身を動かし、頭より高い位置まで腕を動かすようにすることが必要です。
人によっては1年以上期間を要する方も見えます。
より複雑な問題がある場合は、肩だけではなく内臓・神経系の検査をした方が良い場合もあります。
痛みは何かを教えてくれているサインでもあります。
小さな変化を見落とさないようにすることが大切です。
自宅で可能な運動を他のHP(自主トレバンクさんhttps://jishu-tre.online/)から引用させて頂いておりますので、その一部を載せておきます。
参考にしてください。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。