長引く痛みは脳の中で大きな変化が起きている
みなさんこんにち、いつもみずの整骨院のホームページを見て頂きありがとうございます。
最近は痛みに関して様々な研究がされてきています。現在分かってきたことで、みなさんに知っておいて欲しい事をご説明していきます。
痛みとはどういったものなのか?興味のある方は読み進めてみて下さい。
一般的な身体の痛みは打撲や捻挫、骨折など、原因がはっきりとしているものが多いです。
しかし、最近は多くの方が特に原因が分からない痛みに悩まされています。
近年の研究によって痛みは大きく3つに分類されるようになってきました。
①侵害受容性の痛み
②神経障害性の痛み
③痛覚変調性の痛み
①に関してはいわゆる打撲や捻挫で起こる筋や皮膚、靭帯の損傷からくる痛みであり、痛みのセンサーが(侵害受容器)興奮して起こるものです。
②はヘルニアや脳梗塞などによる神経の圧迫や損傷が原因で起こる痛みを指します。
上記のケガに関してはいわゆる痛みの治療をすることで改善されることが多いです。
(当然早期に治療することが早く治る条件になります。)
問題は③が原因の痛みです。
痛覚変調性疼痛とは一般的な痛みとは違い、痛みを感じている脳内の場所が他と異なっている事が多いのです。
具体的には脳内の感情や情動、認知機能を担当しているエリアが興奮状態にあると言われています。
その一つが扁桃体(へんとうたい)と言われるエリアです。
脳の側頭葉の内側、海馬の近くに左右一対の形をしたアーモンド状の器官です。
感情(特に恐怖や不安)や記憶の中枢として機能しており、危険を察知し生存するための行動を促す働きがあります。
もう一つが側坐核(そくざかく)です。
脳の前方下部に存在する器官であり、やる気・意欲・快感の中枢と言われています。
行動を起こす中枢であり、いわゆるやる気スイッチのような働きをしています。
また、感情を制御したり、運動機能を回復させる働きもあり、人間的な高次機能を支える領域を担っています。
他にも脳内では痛みに関して複雑なネットワークが関係しており、痛覚変調性疼痛とはそういったエリアの異常な興奮状態であると表現できます。
そもそも脳の中で痛いと感じている場所が違うという事に驚きを感じます。
よって通常の痛み方とは違い、表現が多岐にわたる事が多いです。
③の患者さんの特徴として
・常に痛みの事が気になるが、他事に集中していると痛みを忘れる事がある。
・不安傾向が強く、ささいな言動で怒りやすくなる
・極度に憶病になり、ヒステリックな状態になる場合もある
・前向きな発言や建設的な考えが出来なくなる
など、色々な面で前に進めなくなることがあります。
この状況になると一般的な痛み止めの薬やマッサージなどの痛み治療では効果が見込めなくなります。
臨床では痛みを訴える患者さんの2~3割は複雑な状態の方がおられますが、おそらくそういった方は初めから痛覚変調性の疼痛になった訳ではないと考えます。
当初はいわゆる普通の痛みであったものが、適切な治療が遅れたため徐々に慢性化していき、さらに他の病気や疾患も重なりより複雑な状態を作り出したのではないかと推論します。
痛みに関しては明確な線引きは難しく、侵害受容性の痛みと痛覚変調性の痛みが混在している状態というのも考えられます。(神経因性疼痛も同じです)
その場合、治療方針を一つに絞ることが難しく、患者さんの状態によってアプローチ法を変更したり、他の医療機関に紹介することも視野に入れていく必要があります。
ひと昔前のように、病名だけで治療法が決められるような状況ではなく、
個人の状態に合わせたオーダーメードな治療が必要になってきているように感じます。
また次回以降で効果が見込める運動やアプローチ法を紹介できればいいなと考えています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。


